社労士とAIが守る、現場の声と企業の信頼

カスハラ時代の新常識

はじめに:カスタマーハラスメント対策は「選択」ではなく「責任」に

「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉が広まり始めたのはここ数年のこと。しかし、その実態はずっと以前から現場でひそかに起き続けてきた“見えない暴力”です。とくにBtoC業態では、理不尽な要求や暴言、精神的圧迫によって、スタッフが心身を壊し、離職に至るケースが少なくありません。

こうした現状を受けて、東京都では2024年、企業のカスハラ対策を支援する補助金制度を施行。録音・録画機器やAI解析システムを導入した場合、最大40万円の補助が受けられるということで、企業の意識も変わり始めています。

しかし、対策は形だけでは意味がありません。
本当に大切なのは、従業員が安心して働ける環境をつくり、企業自身がリスクを正しく把握し、未然に防ぐこと。ここで重要なパートナーとなるのが「社労士」と「AIツール」の存在です。

社労士の新しい役割:「助成金の人」から「安心設計の伴走者」へ

これまで社労士といえば、就業規則の整備や助成金の申請サポートといった“制度屋”のイメージが強かったかもしれません。しかし、最近では「企業のハラスメント対策のアドバイザー」としての役割に注目が集まっています。

実際、ウェビナーや企業セミナーでも「カスハラ対応と社労士」をテーマにしたものが増加傾向にあり、顧問契約企業からの相談内容も多様化しています。たとえば:

  • 社内相談窓口の設置や通報制度の整備
  • カスハラ対策マニュアルや研修の構築
  • 録音・録画に基づいた就業規則の改定案
  • 法改正に備えた段階的対応支援

こうした流れの中で、「録音やAIによる感情解析ツールの導入」は、まさに現場と社労士が連携するうえでの“接点”になりうるのです。

「ボイテキ!」という選択肢:記録から、行動改善まで

今回、私たちが開発した「ボイテキ!」は、単なる議事録生成ツールではありません。

“感情の温度”を見える化し、対話の中に潜む危機を予兆として可視化する。
それが「ボイテキ!」の真の狙いです。

特徴的な機能:
  • 録音&文字起こし:iPhoneアプリなどで録音した会話を自動でテキスト化。
  • 感情解析:営業と顧客の温度差(ノリノリ営業 vs 疲れた顧客)を数値化・グラフ化。
  • コンプライアンス違反検知:暴言、威圧、侮辱などを自動フラグ。
  • AIによる要約・スコアリング:1時間の会議を1時間で要約+評価。

たとえば、ある証券会社では、営業と顧客のやりとりを録音し、「金融庁ガイドラインへの準拠度」を可視化するツールとして活用されています。この手法はそのまま、カスハラ検知やメンタルケア支援にも応用可能です。

カスハラ対応の“リアル”:広がる対象範囲と企業の責任

社労士との会話の中で印象的だったのは、カスハラの定義が非常に広いという点です。

「継続的な暴言、同じクレームの反復、威圧的な態度、反社とのつながりの示唆、精神的圧迫、中傷、土下座の強要、プライバシーの侵害……」

こうした行為が日常業務に紛れて存在している場合、記録がなければ“無かったこと”にされてしまいます。

だからこそ、AIによる会話解析が重要になります。音声→テキスト→感情スコアという流れを自動で構築することで、「管理者が気づける」仕組みを持つことができます。

社労士とボイテキ!の“理想の連携モデル”

このツールを顧問社労士が使えばどうなるか?

  • カスハラを検知した場合、すぐに労災やメンタルヘルスの予防対応ができる
  • 社労士が就業規則や研修設計に活用できる
  • 顧問先への提案力がアップし、信頼性向上にもつながる

また、開業社労士の多くは複数の中小企業を顧問として持っており、横展開による紹介モデルも可能です。

コストと導入効果:費用対効果の高い“安心投資”

「ボイテキ!」の利用料は1時間あたり1,500円。
これは、最低賃金(東京都で1,163円)よりやや高い程度ですが、人間が1時間の会話を聞き直して議事録を作成するより遥かに速く、安く、精度が高いです。

さらに、東京都の補助金を活用すれば、初期費用の大部分は実質無料に近い形で導入できます。

まとめ:「安心できる会社」は、記録で証明できる時代へ

  • 記録があるから対策できる
  • 分析できるから改善できる
  • 対話が可視化されるから、企業文化が変わる

「ボイテキ!」は、そうした新しい“安心のインフラ”となることを目指しています。
そして、社労士という現場と法務の橋渡しができる存在と手を組むことで、さらに多くの企業に届けられると信じています。

補足:社労士との交流が未来を広げる

最後に。この記事のきっかけは、ある社労士さんとの気さくな雑談からでした。
補助金の話、ウェビナーの話、現場の空気感、そして共に考えた「どうしたら社会を良くできるか」。

このような対話が、カスハラという深刻な問題への“解像度”を高めてくれたのだと思います。

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